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3.結論(まとめ)


如何でしたでしょうか?・・・と訊いても、ここまで全部読んで辿り着いて下さってる猛者が、
果たしてどれくらいいらっしゃることやら・・・最後まで読んで頂いて、ありがとうございます。m(_ _)m
(まとめだけ先に読んでくれてる方々も、どぉもありがとうございますw)

これまで見てきたように、i_公式は、その見た目の単純さのわりに、
非常によく宇多田ヒカルの各作品の週別売上枚数を再現してくれています。
もちろん、たくさんの例外があるわけですが、
それらがどのような例外であるかを分析するためには
やはりi_公式のような、柱となる理論が必要なわけです。
この公式の意義は、枚数を細かく予測することより、
CDやDVDがどのように市場に浸透していくのか知りたい、という欲求を持ったときに、
確固とした視点を提供してくれていることが一番大きいのではないでしょうか。

まず、このi_公式がよく通用するような理想的な場合、
CDシングル「SAKURAドロップス/Letters」やDVDシングル「誰かの願いが叶うころ」のように、
実に流麗で滑らかな曲線を描いてくれる。
こういう曲線がベースになっていることがわかっていれば、
シングル・コレクションDVD「ヒカルの5」などのケースのように、
後発の作品がその売上に影響を及ぼした場合、
それがどれ位影響を及ぼしたかを定量的に評価できる、
そういった利点があるわけです。

一方でもちろん、このi_公式は、万能なんかでは全然ありません。
何より、

この公式は、
一番みんなが関心を寄せるであろう初動枚数の予測に関しては、
全く無能なんですから。(つд;)


あくまで、初動枚数が与えられたとしてそれ以降の売上を予測することしか、できません。orz

しかも、1週目の売上を見なければ、μの値も求められないので、
結局、殆どの枚数のCDなりDVDが売れ終わったあとでなければ、
このi_公式には、出番は訪れないのです。
既に一度(この頁の一番最後で)書きましたが、
i_公式は、現段階では何か実用に使える、というものではありません。

しかし、一通りCDなりDVDなりを売り終わったあとに、
レコード会社がしかけたプロモーションが、どれくらい威力があったのかを評価し、
次の作品のプロモーションへの教訓にするためには、ある程度役に立つかも、しれません。
それに使うにしたって、減衰係数μの正確な評価などに課題を残しているわけですけどね。


・・・ちょっと休憩。(笑)


今回、一通り宇多田ヒカル作品の売上に目を通して如実に感じたこと。
それは、

如何にこの3年、彼女がまともなプロモーションをやっていないか

・・・ということです。誤解しないでください。彼女の多忙さなら、よく知っています。
(2004年暮れに宇多田共和国総合掲示板こんな投稿をしたことがあるくらいですから)

なのに、なぜそんなことを敢えて言うかといえば、
出てくる曲線が総てあまりにもちょっと綺麗過ぎるからなんですね。
冒頭(総論の最後)でも触れたとおり、
僕はどういった理由・原因でi_公式が導かれるのかは、まだ全然把握していません。
しかし、恐らくこれは、

「プロモーション活動が発売前に一通り終わった場合に、その後時間をかけて、
 日本中のひとたちに自然に作品の評判が伝播していく様子」


・・・を表現しているものなんだろうな、と仮想しています。
ですから、この曲線は拡散方程式の解か、ロジスティック方程式の一応用だろう、とも考えたのですが、どうもうまく合わないんですよね・・・うーん、、、@独り言

逆にいえば、その「自然に伝播していく様子」がキレイに売上曲線として出てしまっているということは、
「人工的な努力」が、発売後はあまりなされてなかった、ということの裏返しでもあります。


振り返ってみれば無理もありません。
命がけで作り上げた「DEEP RIVER」のプロモーションは、病気治療の為断念せざるを得ませんでした。
(「笑っていいとも」にざねっちが出て「すいません」と謝っていたことが、
 昨日のように・・・とまではいかへんけど(笑)、思い出されます。)
ですから、CDシングル「SAKURAドロップス」とアルバム「DEEP RIVER」の売上曲線が
(後者は途中までですが)あんなに滑らかなのは、
彼女が全くプロモーション活動をせず、療養していたことの証でもあります。

「COLORS」は逆に、とっても頑張ってくれましたよね。
これ以降米国デビューアルバムの製作に向かう、ということで、2003年初頭の彼女のがんばりは、
とてもいい「置手紙」になっていたと、思います。
・・・お陰で品切れになるほどに同曲が馬鹿売れしちゃったとすれば、えらい皮肉なことではありますけど・・・(^_^;

シングル・コレクションと「誰かの願いが叶うころ」は、プロモーションにも殆ど顔を出さず。
唯一、「ミュージック・ステーション」へのTV出演が嬉しかったですね。
DVDシングル「誰かの願いがかなうころ」DVD「ヒカルの5」
2枚のDVDに関しては、まさしくただ出しただけ・・・曲線のキレイさを見ると、それがよりいっそう強調されます。
(逆にいえば、純粋に「EXODUS」効果が出ているわけで、それは誇らしくすらありますけどね。ファンとして。)



しかししかし。
そういった「プロモーションの呆気なさ」もひとつの原因としてはあるでしょうが、
でもやっぱり何より売ってる枚数の桁外れっぷりが、“キレイな曲線”を描かせる一番の要因でしょうね。
どういう現象であれ、
その現象を構成するファクター(これが人間である場合は専門用語では“エージェント”と言ったりしますが)の多寡は、
決定的要因になりえます。ファクターのサンプルが少なすぎると、法則性がキレイに出ず、ノイズに負けてしまう。
あらゆるノイズを封じ込めてしまうくらいたくさんの枚数を売ることができた宇多田ヒカル作品ならでは
“キレイな曲線”である、ということが、いえると思います。



ただ。個人的には何と言っても

「なんでそんな式になるん?」

という疑問2を解決したいですね。これを解明しないと、何とも面白くない。
何より、何が原因で売上曲線が決まっているかを把握しないと、

「ひとりでも多くの人間にいい音楽を届けるにはどうしたらいいか?」

という根源的な疑問に対して、意味のある解答を提出できないですから。
もし、この公式意味がどこかの時点でわかれば、
もっとより効率的かつ効果的にひとびとにいい音楽を届ける方法が、新しく見つかるかもしれません。
僕は、そうなることを願っています。




・・・・・・っとと。書いてる本人が途中で失笑してしまうくらい殊勝な文章を書いてしまった。(爆)

さて、今回の原稿はこれで終わりです。
それでは早速、2005年9月28日(水)発売の宇多田ヒカルの新曲「Be My Last」の売上予想と参りましょうか。どうぞ



※  このページに掲載されたリンク先一覧

※  ・ i_公式
※  ・ 11thシングル「SAKURAドロップス/Letters」売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ
※  ・ DVDシングル「誰かの願いが叶うころ」売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ
※  ・ シングル・コレクション売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ
※  ・ DVD「ヒカルの5」売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ
※  ・ 2−01. 3rdアルバム「DEEP RIVER」
※  ・ 宇多田共和国
※  ・ 宇多田共和国総合掲示板
※  ・ 宇多田共和国総合掲示板[14330] 2004年最後の書き込み.▽ 2004/12/31 (Fri) 23:25:07 ▽ i_
※  ・ 1.総論
※  ・ 3rdアルバム「DEEP RIVER」売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ
※  ・ 2−11. 14thシングル「Be My Last」




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