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2−04. 12thシングル「COLORS」


2003年1月29日(水)に発売された12thシングル「COLORS」の売上枚数分析に移ります。
オリコン初動売上枚数は2003年2月10日付発表の43万7903枚、
現在まで約89万4000枚を売り上げています。
山ちゃんランド・宇多田ヒカルシングルの頁参照)

さてここでは、前頁のように勿体つけることなく(笑)、早速グラフと数値表を見てみましょう。

こちらが実数軸グラフ、
こちらが対数軸グラフ、
こちらが数値表になります。


・・・ご覧頂けたでしょうか。
いずれのグラフでも
1週目〜4週目が大幅にずれており、それとは対照的に5週目以降はバッチリ合っている。
・・・ことが、非常にはっきりわかると思います。
これはどういうことでしょうか。大雑把にわけて、次の2つの可能性が考えられます。

(1) 弱気になって考えてみる。
 ―― i_理論がいつも正しいわけではないだろう。合うこともあれば、合わないこともある。
 ―― 現に、「DEEP RIVER」のときも、8週目以降は合わなかったじゃないか。
 ―― 今回も、合わない週があっても不自然ではない。5週目以降が合っているのを喜ぼう。

(2) 強気になって考えてみる。
 ―― いや、i_理論公式は正しい。現に、5週目以降はバッチリではないか。
 ―― きっと、1〜4週目に、何か普通ではないことが起こっていたに違いない。
 ―― それをつきとめればい、いいはずだ。



さて、どちらの態度をとりましょうか。(笑)
そうですね、(1)の態度を取るのは、まるで「白い旗をあきらめたときにかざす」ようで(笑)
どうも気が乗りません。ここは「いいじゃないか、このキャンヴァスは僕のもの」という気分で、
強気な(2)の態度を取ってみましょうw


>> 考察:「COLORS」の売上曲線から推測できること


では、強気にもi_理論は正しいという前提にしたとして、その↑の(2)で触れている
普通ではないこととは、一体何なのでしょうか。考えてみました。

まず、強気なんですから、

『実は、本来「COLORS」は、i_理論曲線のように売れていたはずだった。』

、、、と強弁してみましょう。
つまり、

『何かアクシデントがあって、1〜4週目の売上が少なくなってしまった。』

と考えるのです。それでは、そのアクシデントとやらは、一体何なんでしょうか。
ここでも、強気に大胆な仮説をぶってしまおうと思います。飽く迄強気に。(笑)それは、

『1週目、品切れ起こしてたんとちゃうか?』

、、、というものです。
本来なら、数値表のi_理論の値(μ=0.051の欄)にあるように
1週目は23万枚以上を売り上げていたはずが、
出荷枚数が足りなくて、13万枚強しか売れなかった、という推測。
その後もその影響が響いて、
「COLORS」が本来の売上曲線に戻るまで4週かかってしまった、とそういう推測です。

なぜ、そんなことが言えるのか?
ポイントは、減衰係数μにあります。

このμの値が、各作品ごとに固有であることは、前に話しましたよね。
そして、それと同時に、それぞれそんなに突飛に違う値はとらない、とも。
シングルに限っていえば、
「光」のμの値はμ=0.051、「SAKURAドロップス/Letters」のμの値はμ=0.076でしたね。
さて、この「COLORS」のμの値は、数値表にもあるように、「μ=0.051」。
そうなんです。実は、「光」と全く同じ値なんです。

ところが。
初動枚数Aの値に限っていうと、
「光」が27万0370枚、「SAKURAドロップス/Letters」が40万0390枚、「COLORS」は43万7903枚、と
「COLORS」は「光」よりも寧ろ「SAKURAドロップス/Letters」に近い枚数を叩き出しています。


つまり、「COLORS」というシングルは、
減衰係数μの値は「光」と同じで、初動枚数Aの値が「SAKURAドロップス/Letters」に近い、
とそういう作品だということがいえるわけです。


さて、一方で東芝EMIは、

『「COLORS」は、前評判が「SAKURAドロップス/Letters」と同じくらいだから、
 0週目、1週目ともに「SAKURAドロップス/Letters」と同じくらいの売上になる』


、、、と踏んでいたのではないでしょうか。

各売上枚数を比較用の数値表で見較べてみましょう。
「SAKURAドロップス/Letters」の1週目の売上は13万3170枚
「COLORS」の1週目の売上は13万9829枚、と
互いに非常に近い数値であることがわかります。ということは、
両者とも最初の2週間での売上はほぼ55万枚前後、ということになる。

ここで引用したいのが、それぞれの「初回出荷枚数」です。売上枚数ではないことに注意。
これは、ネット上の記事から引用しましょう。
まず、NHW NewsBBSNo.1402の記事を見ると「初回出荷70万枚+5万枚」とあります。
一方、このページによると、
「COLORS」の初回出荷枚数は「55万枚」とのこと。そして初日追加注文が18万枚・・・・・・


・・・見えてきたでしょうか?  (「いや、ぜんぜん・・・」という声がきこえる(大汗)。)



――― 僕の思い描くストーリーはこうです。

レコード会社は、「SAKURAドロップス/Leters」のとき、70万枚を初回出荷したが、
それ以降、そんなに追加注文をする必要がなかった、つまり、あとは普通に売れただけなのです。
だから、理論どおりにi_理論曲線に綺麗に乗ったと考えられる。
しかし、「COLORS」に際して、レコード会社は考えた。

「前のシングル(「SAKURAドロップス/Letters」では、最初の出荷数が多すぎた。
 今度はそれを参考にして初回出荷枚数を抑えよう」


...とね。

ところが。

それが誤算。

上述したように、実は「COLORS」の減衰係数μの値は、
「SAKURAドロップス/Letters」のそれより小さい。つまり、売上はいくらか緩やかに下降する。
この原因を考えてみて僕が一番すぐに思いついたのは、
「シングルのみでの発売か、アルバムからのシングルカットか」の違い、という理由でした。

「光」発売当初は、一応3rdアルバム製作中ということではあったものの、
その時点では「シングル固有の作品」としての扱いを受けていた。

一方、既述のように「SAKURAドロップス/Letters」はシングルカット曲。
だから、本来は、「COLORS」の出荷枚数を決めるときに必要だったのは、

『楽曲の前評判によって決められる初動枚数(0週目売上)だけではなく、
 カットか単独かによって差異が出るμの値も売上枚数推移を左右する』
という考察”

...だったのが、EMIちゃんはこのμについて考えていなかった。よって、
前評判が「SAKURAドロップス/Letters」と同等だから、以前の轍を踏まえて、
初回出荷枚数を抑えたらさぁたいへん、品切れになってしまって、
本来の売上曲線に戻るまで一ヶ月を要してしまった、
ということです。

――― これが、僕が妄想したストーリーです。



ンマー、妄想の真偽のほどはともかく(笑)、
売上曲線についての「理論公式」を手に入れると、
以上のようなことも、チャートを見てるだけで考えられる可能性が出てくる、

ということだけ、付言しておきます。
間違っても、↑の妄想を真実だと勘違いしないでね★
あくまで、根拠を欠いた、僕なりの妄想/推測に過ぎないのですから。



ちな!みに、この「COLORS」は上述のように累計で90万枚近くを最終的に売り上げたのですが
もし、僕の理論通りの売上推移だったとすると、2003年7月末までの売上で103万8231枚・・・

そう、もしかしたら、この「COLORS」というシングルは
「幻のミリオン・ヒット・シングル」なのかもしれないのです・・・


・・・なぁんていう思わせぶりなシメ方、しちゃダメかな?(苦笑)



・・・さて、僕の暴走もひととおり終わったところで(笑)、
次に行きましょう。2004年のシングル・コレクションです。



※  このページに掲載されたリンク先一覧

※  ・ 山ちゃんランド・宇多田ヒカルシングルの頁
※  ・ 12thシングル「COLORS」売上推移&i_理論値の表
※  ・ 12thシングル「COLORS」売上推移&i_理論曲線の実数軸グラフ
※  ・ 12thシングル「COLORS」売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ
※  ・ 3rdアルバム「DEEP RIVER」売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ」
※  ・ 「SAKURAドロップス/Letters」と「COLORS」の売上推移比較数値表
※  ・ 「SAKURAドロップス/Letters」のレコード会社初回出荷枚数記事リンク「NHW NewsBBSNo.1402の記事
※  ・ 「COLORS」のレコード会社初回出荷枚数記事リンク「宇多田会議Hikki情報

※  ・ すべてのデータをまとめたエクセル・ファイルはこちらです。




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