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2−02.11thシングル「SAKURAドロップス/Letters」


続いては、2002年5月9日(木)発売の11thシングル「SAKURAドロップス/Letters」です。
オリコン初動売上結果は2002年5月20日付で発表され、
その初動枚数は40万0390枚、現在までに約68万7000枚を売り上げています。
山ちゃんランド・宇多田ヒカルシングルの頁参照)

さて、前作品の10thシングル「光」の売上枚数グラフ(対数軸)は、
i_理論値とは違い、3〜4週間周期くらいでデコボコとしたものになっていました。
むろん、理論自体は同じなので、この「SAKURAドロップス/Letters」に対しても、
i_公式は同じように滑らかな曲線を描く値を弾き出してくれます。
では、見てみましょう。
前頁と同じく藍色の曲線が実売枚数紫色の曲線がi_理論です。

まず、こちらが実数軸グラフです。

・・・どうでしょうか。1週目を除けば、
どの週でもほぼ2色の線が一致している
ことがおわかり頂けると思います。
ただ、これではやはり枚数が少なくなってきた頃(5週目以降位)の精度がわかりにくいので
対数軸グラフでも見てみましょう。

こちらが対数軸グラフです。

見ての通り、こちらのグラフで見ても、僅かの誤差を除けば、2つの曲線は非常に一致しています。
初動枚数を入力して、適当に減衰係数μの値を決めただけで、
2ヶ月以上先の週の売上枚数を約5%の誤差で求められる
というのは、
発見した僕自身、かなり驚きでした。
(ちな!みに数値表はこちらです。)


(余談)
また、このグラフからはひとつ面白いことが読み取れます。
このシングルが、次の3rdアルバム「DEEP RIVER」からのシングルカット曲2曲で構成されている、
ということを思い出してください。そうです、
「DEEP RIVER」が発売になった後も、売上曲線に全く変化がないんです。
面白いと思いませんか? もし、アルバムに収録されているのと同じバージョンであるなら
アルバム発売後は誰しも、より割安感のあるアルバムの方を買いそうなものなのに、
実際は、全くその影響がない。これはつまり、このシングルカット盤は、
最初から、アルバムを買うつもりの人は全く手を出しておらず、
純粋にシングルを買う層によってのみ購入された
ということなのではないでしょうか。
そういったことも、この滑らかな売上曲線からは読み取れそうです。
とはいえまぁ、あくまでも僕個人の推測(妄想)に過ぎませんが。余談でした。




※ ここから先は、付加的な小噺です。読まなくても構いません。
※ ややこしい話を避けたい方は(ってもう十分ややこしいって!?(笑))
※ このまま次の3rdアルバム「DEEP RIVER」の頁にお進み下さい♪



(@) 減衰係数μの値

ここで、少し「イイワケ」をしておきます。
このi_公式の最終的なカタチは、
あくまで、初動枚数と、「個々の作品毎に固有に決まる減衰係数μの値」で決まっています。
逆にいえば、μの値は、実売枚数の曲線に合わせて、僕が勝手に決めている、ということです。
ですから、読者の皆さんは次のように思われるかもしれません。

「なんだ、それでは、いくらでも好きなように実売枚数の曲線に合わせることが出来るではないか。
 μの値も、初動枚数か何かから決められないのか? そうでないと意味がないだろう。」


・・・ご尤も。ある程度は、その通りです。しかしながら、グラフにあるような、
なだらかな単調減少曲線を単純な式で近似する場合、
使える「式のカタチ」は大抵ひとつに決まってしまうのです。
それを次に見てみましょう。


(A) i_理論曲線と、他の一般的な曲線との比較

試しに、i_曲線と、その他の代表的な単調減少曲線とをこんな感じ(対数軸)に比較してみました。
拡散解というのと指数解というのがそれです。
 この2つについて、今ここで詳細を知る必要はありません。)

2週目くらいまでは、どれも大差ないですが、
それ以降となると、圧倒的にi_曲線だけが実売曲線にフィットしています。
もちろん、他の2つの曲線にも、i_公式と同じくμにあたるパラメタ(勝手に変えられる値のこと)があり
それらの値は、実売曲線になるたけ合うように調整されています。
それでもやはり、i_曲線が一番よく実売曲線に合うわけですw


(B) μの値の決定とその傾向

では、どうやってμの値を決めるのでしょうか?
残念ながら、今回の10作品に関しては、初動枚数Aと減衰係数μの間には、
目立った相関は見られませんでした。つまり、初動枚数Aとμは全然関係なく決まる値ということです。

しかし、とはいうものの、μが、まったく突飛な値を取るかというとそうでもないのです。
「光」の場合はμ=0.051、「SAKURAドロップス/Letters」の場合はμ=0.076、という値でした。
実は、これ以後も今回のこのエントリにはシングル作品のμの値が更に2つ出てきますが、
いずれもこの「光」や「SAKURAドロップス/Lettes」と大差ない値になっています。
ですから、これから新しいシングル作品が発売される際に、
μの値を予測することは全く不可能、ということでもない
のです。
即ち、常にある程度のアタリをつけることは可能だと思われるわけです。
つまり、今は昔の作品の分析をしているだけですが、i_公式があれば、
これから発売される宇多田ヒカル作品の売上枚数を予測できるようになるかもしれないんですね。
とはいえ、それについてはまた稿を改めることにして、昔の作品の分析を続けましょうv


では、今度はアルバム作品の話に移ります。
シングル作品の実売枚数曲線との相違点はどういったところになるのか。
以後徐々に明らかになっていきますが、
面白いことに、実際の売上曲線は、アルバムとシングルではっきりと傾向がわかれています。
さぁ、2002年の3rdアルバム「DEEP RIVER」のデータを見てみましょう。



※  このページに掲載されたリンク先一覧

※  ・ 山ちゃんランド・宇多田ヒカルシングルの頁
※  ・ 11thシングル「SAKURAドロップス/Letters」売上推移&i_理論値の表
※  ・ 11thシングル「SAKURAドロップス/Letters」売上推移&i_理論曲線の実数軸グラフ
※  ・ 11thシングル「SAKURAドロップス/Letters」売上推移&i_理論曲線の対数軸グラフ
※  ・ i_理論曲線と、他の一般的な曲線との比較
※  ・ i_公式

※  ・ すべてのデータをまとめたエクセル・ファイルはこちらです。



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