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1.(1)〜(4):「紹介」 2.(5)〜(11):「溜息」
3.(12)〜(17):「孤独」 4.(18)〜(19):「圭子」 5.(20)〜(23):「照實」
6.(24)〜(31):「作品」
連載:ワシントン・ポスト/2004 Part X
引用元 URL → http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A31175-2004Oct13.html

           → http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A31175-2004Oct13_2.html


元々の文章が結構長いので、読み易いようにと僕が勝手に6つのパートに区切ってみました。
即ち、元々はこういう区切り方をされていない、ということにご注意ください。
あくまで、翻訳者による区切りです。 見易いように各段落に番号を振り、区切りごとに色を変えてみました。
逆効果になっていないことを祈ります。

Part X
5.(20)〜(23):「照實」


少女時代をあとにして大人への“脱出”を図った日本のポップスター

ショーン・ダリィ
ワシントンポスト・スタッフ・ライター

投稿者:i_投稿日:4/21(木) 23:13

(20)フォー・シーズンズ・ホテルのロビーで支払いをしようとしていたテルザネは、自分の娘が両親と同じ音楽の道を追い求めていることについてどう感じているのかを訊かれた際、ウタダを見て微笑みながらこう言ったのだった。「家業を継いだってだけだよな。(笑)」 この長身でハンサムな男はこうも言った。「あくまで、彼女がそれをしたいのなら、(そう言っていいと思うんだけど)ね・・・。」

(21)「でも、そう仕向けたのはアナタ達でしょ!(笑)」彼の娘が噛み付いてきた。
「そ、そうは言うけど結構上手くやれてるじゃないか!(笑)」テルザネはそう言って笑った。(いかにも卑屈そうな笑い方で)
ウタダは、東京の街中を追い掛けてきたパパラッチたちの思い出に顔をしかめる。「もっと若かった頃は、そりゃひどかったんだよ。」そう彼女は言う。「ショック療法だな。家の茂みに隠れてたりして。日本のタブロイドってこっちのよりずっとどぎつくってさ、毎週タブロイドには私が載ってた。何週間載せられるかっていう記録をつくりたくってやってるんじゃないか?ってくらいに。(苦笑)」

(22)アメリカで彼女のプライヴァシーが失われる可能性について、テルザネはこう述べる。「彼女は、いつだって他の国に行けるからね。たとえば南米とかさ!(笑)」

(23)(テルザネは次の日、自発的に、くだけた文体で彼の妻と彼の娘との関係についての英文を送ってきてくれた。「私は、どちらのアーティストに対しても、何かを強いたりしたことは無い。でも、私は彼らがやりたいと願ったことは、彼らがやりたいと願った通りに為されていると、いつだって確信している。・・・私は、“宇多田”が成功したことに満足してはいるけれど、一方で、彼女が(そういう、何かを成し遂げて有名になった状況の中で)自身をいい精神状態に保つことが如何に難しいか、ということもわかっている。」

訳者後記:i_

まず、訳者がもたもたもたもたしていたため、初出から半年たっての訳出になってしまったことをお詫び致します。m(_ _)m この記事を読みたくても読めなかった方々には、申し訳ないことをしました。まだ読んでくれていたら、いいのですけどね。後悔頻りです。
 さて、それだけ遅れたのだから、翻訳作業だけでなく、極一部で期待されているという(笑)、訳者後記を、いつにも増して充実したもの(かどうかの判断は読んだ人のすることですけどね(笑))にしてみました。殆どの人には単なるお目汚しでしょうが、いいんです、期待してくれてるほんの少数の人たちが読んでいてくれるのなら。とはいえ、いつにもまして長いので(汗)、連載投稿することにしました。

今回は、「翻訳についての後記」と「内容についての後記」を分けました。ところどころどっちつかずな文章も含まれてるかと思いますが、厳密に分けたわけではなく、なんとな〜く分けただけなので、そのつもりでお読みいただければ幸いです。では、どうぞ。

*****


翻訳について:

各段落毎にいろいろと細かいことから大雑把なことまで指摘していきましょう。僕の誤訳への指摘の助けになるように、また、中高生の皆さんの英語の勉強にマイナスにならないように、書いたつもりです。書いてないことは意図していない、と考えて下すって差し支えないように、微に入り細を穿つ文章になっていますので、多少(か?(汗))くどいのもまた、ご容赦くださいませ。m(_ _)m

一段落ずつ虱潰しにいきます.
(20)

When Teruzane, waiting for his charge in the Four Seasons lobby, is asked
how he feels about his daughter following in her parents' musical
footsteps, he looks at Utada and smiles. It's the family business, the
tall, handsome man says. If she wants to do it
(20)の解説文

@ 後半は、I would refer it(music) as a family business, for us, as long as she wants to do it...と読み替えて訳しました。どないなもんでしょ?
(21)

But
@ you guys made me! his daughter snaps back.
But you're so good at it! Teruzane says, laughing (a nervous laugh, to be
sure).
Utada winces at memories of the paparazzi chasing her through the streets
of Tokyo. It was bad when I was really young, she says. Like shock
treatment. They'd be hiding in my bushes at my house. The tabloids are much
sleazier in Japan.
AI was in the tabloids every week, for, like, a record
number of weeks.
(21)の解説文

@ 一応、you guys made meを「そう仕向けた」と訳しましたが、単純に「あんたらが生んで育てたんやんか!」でも、いいかもしれませんね。

A I was in the tabloids every week, for a record number of weeks.は、誤訳の可能性アリです、どう訳したらいいのかわからなかったので苦肉の策を取りましたとさ。直訳すれば、「私は、毎週タブロイド紙に載っていました。何週間かの記録の数のために」なのですが、後半意味わかりません。なので、意味の通じる訳を捏造してみました。これを英訳すると、I was in the tabloids every week so that they'd make a new record of a number of articlesくらいになる??
(22)
About the possibility of losing her privacy in the States, Teruzane says,
She can always go to other countries. Like South America!
(20)(23)の解説文

@ an unprompted noteは、ポスト紙側からの要求はなかったにも拘らずざねっちが好意で文章を送ってきたことを意味しているようです。

A but I always make sure that everything they wish to do is done the way they wish them to beは禅問答タイプと言われる文章ですかね。(笑) 指示代名詞を補い直すとわかりやすいかと思われます。こうなりますね。but I always make sure that everything Hikaru&Keiko wish to do is done the way Hikaru&Keiko wish (everything they wish to do) to be ・・・余計に分かりにくい。(汗)


(23)
(Teruzane will send
@ an unprompted note the next day, writing in broken
English about his relationship with his wife and daughter: I didn't force
either artist to do anything,
A but I always make sure that everything they
wish to do is done the way they wish them to be
. . . . I am happy that
[Utada] has been successful, but I also know how difficult for her to
maintain the good spirit.)
内容について:

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5.(20)〜(23):「照實」

 続いて第20〜23の4段落に、今度は父親兼マネージャ兼コ・プロデューサのざねっちが登場します。彼のIf she wants to do it . . .という発言は、直接的にも間接的にも述べられてきたものだと思うのですが(ソースどこだっけ(涙))、今回、取材後に自主的に書簡を送りつけてまで、そのポイントを強調するのを見るにつけ、かなり確信的に子育てをしてきたのではないか、と思わせます。訳者は彼のこの「あくまでも本人がやりたがったから」発言を見るたびに卓球の福原愛一家を思い出しますなー。昔は泣き虫愛ちゃんとして有名で、テーブルに付きながら泣きじゃくっていた彼女ですが、あれは別に練習がイヤで泣いているのではなく、自分のプレイに納得がいかなくて泣いてたケースが殆どだったみたいなんですね。いつもお母さんが「そんなに泣くのならやめれば?やめてもいいんだよ。」と言うのに「やだーーっやるーっ!」と愛ちゃんが泣いていた、とそういう具合。・・・子供の負けず嫌い(←誰かこの妙なコトバを止めてくれ(爆・・・本来は負け嫌いなハズ〜☆))を引き出すには、If she wants to do it . . .と呪文のように繰り返すのがきっとかなり効果的なんでしょうね。かくして、ひかるも見事負けず嫌いな女の子としてずっと成長してきたわけです。(笑) but I always make sure that everything they wish to do is done the way they wish them to be―――結局うまく訳せませんでしたが、ざねっちの正直な気持ちなんでしょうね。意味はわからないけど、なんとな〜く思いは伝わってきた・・・気がします。(笑)


+++ 全体を通して +++
 
 今まで訳してきた新聞雑誌記事の中で、内容が一番網羅的な記事でした。つまり、もし数年後に、「当時UtaDAはアメリカでどんな取り上げられ方をしていたのだ?」という疑問が湧いた時に何かひとつティピカルな例として挙げて説明するなら、このワシントン・ポスト紙を差し出すのが、よい方法のひとつとなるでしょうね。ルックスと音楽性のギャップ、日本での神話レベルの知名度、音楽の好み、音楽一家の家族構成、米国市場に対する悩み、ティンバランドとのコラボ、…元々の取材ソースが同一なのか、それともアーティスト側が質問と回答を固定しているのか、他で見られた文章と非常に類似したものも散見されていますが、この記事を「総集編」的位置付けで捉えるなら、それは非常に有益・効率的な事実だと思います。全体的に言い回しがくどいのは、翻訳が至らない所為もあるとはいえ、かなりの割合で原文が実際にクドクドしている、ということです。字数に余裕があるんでしょうかはたまた逆に字数が足りないから婉曲的な表現を多用して読者の解釈能力に委ねているんでしょうかちょっと量りかねましたが、何れにせよわかりにくいことには変わりない。(汗) もっと素直に文章を綴ってくれてもいいのに、と度々思いました。伝えたいことが精微だから言い方も精微になってる、ということでしたら、そこまで汲み取り切れなかった訳者の責任になっちゃうんですけどね。(^_^ゞ 
 そして、インタビューの内容が、他の記事に比べて一番踏み込んだものになっていそうな気がします。注射がどうのとか、雨の日に歩いてたことだとか、かなりリラックスした状態でないと訊き出せないようなことを…インタビューアの手腕がよいのでしょうか、それとも、他では字数の都合上取り上げ切れなかったような会話が、ここでは取り上げることが出来たというだけでしょうか。いずれにせよナマの声がきけて嬉しいインタビューになっていますね。これを読んで引いちゃう人が多発しないことを祈りたいですが。(笑) 僕自身はまたしても親近感が増して(逆かな〜。彼女に近づきたい一心が程度を越し始めているだけなのかも(汗))、ますます嬉しくなってるんですけどー。あとはもずくが好きな理由を知りたい。(謎含笑)<記事とカンケーないよソレ(^∇^;


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最後に一つ、重要なつけたしがっ!
「その1」で『最初のリンクが最早既に遥か彼方みたい』と書きましたが、大嘘でした!ごめんなさい、ちゃんと元記事はWEBで参照できます。↓
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A31175-2004Oct13.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A31175-2004Oct13_2.html
わらがい父ちゃんとこに張ってあるのを発見致しました。thanx to 宇多田合衆国大統領!(笑))
(で、記事の日付はURLを見ると2004/10/13、文章内では10/14ということみたいです。どっちなんでしょう。わかりません。)

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Part Y 6.(24)〜(31) 「作品」